【ヒトりヒトりの笑顔のために】遠藤貴博氏インタビュー第3話「起業する人へ」
■遠藤貴博 | プロフィール
1971年川崎市に生まれ、埼玉県で育つ。現在、有限会社カミナリ屋代表取締役。高校卒業後、時計販売、トラック運転手を経て、独立を視野に居酒屋チェーンを運営する株式会社モンテローザ入社。27歳の時に独立を決心し、埼玉県志木でカミナリ屋を開店。現在は埼玉県を中心に都内含め14店舗を運営。http://homepage3.nifty.com/kaminariya/
今回は、遠藤貴博氏のインタビュー(全3話)の最終話「起業する人へ」を紹介していきます。
起業する人へ
「失敗しても命まではとられない」
本当は出店しない方が楽。店増やさないで今のところで頑張っていた方が当然楽である。わざわざ借入を起こして、リスクを追うことをしなくてもいいのにと、いつも思うという。でも、10年後考えると、何かに挑戦しながら生きていかないとつまらないと思う。その時に、リスクが大きいと思うこともあるが、ここでもし転んでも命まではとられないだろうし、挑戦して壁を乗り越えて成長すれば、「あの時やっておいて良かった」と思えるから。
遠藤社長は、いつからそう考えるようになったのか・・・
高校を卒業し、2年ほどトラックの運転手をしていた。20歳のとき、佐川急便の給料が今までの倍であることを知り、その金額に目がくらみ、キツイ仕事であることを覚悟で佐川急便で働くことを決意。
しかし、半年経った頃、朝6時から夜23時まで働くことに疲れてしまい、目が覚めたら8時・・・という寝坊をしてしまった。それならもう行くのをやめようと、そこで出社をやめてしまったそうだ。
前のトラック運送会社に頭を下げたら、運よく働かせてもらえることになった。ありがたい会社だと感謝しながらトラックの運転していたが、何かが違うと感じるようになったという。
佐川急便のトラックとすれ違うと、「ばっくれた遠藤だ!」と思われたらどうしようなどと、何か後ろめたい気持ちになった。もちろん知らない人ばかりなのだが、佐川急便のトラックを見る度にハっとするようになった。なかなか抜けないこの気持ちは、一体なんなんだろうと考えたとき、ようやく気付いた。
”自分に負けた”感があったから、後ろめたい気持ちだったんだ。と。
お金が欲しいと思って働いたのに、半年ぐらいでギブアップした自分。しかもばっくれて辞めてしまった。何か「達成していない」という気持ちがあったのだ。
だから、白木屋に入ったときも辛かったけれど、自分があの時逃げ出したことが頭の中に引っかかって仕方がなかったため、「もう逃げない」と決めた。目の前のことから目を背けて逃げているとスッキリしない。挑戦しようとしていれば良いことがあると信じることにしたという。
また、お客様からもらった言葉からも逃げない気持ちを強くしているという。
年に何度もハワイに行くお客様を羨ましがったところ、
「これは今まで頑張った自分へのご褒美。生まれ持って成り金で、努力せずハワイに行っても面白くない。くそじじいになるまで頑張ったから、そのご褒美で楽しめる。結局楽しむというのも自分で決めることだから。自分には嘘つけないから、今やるだけやって、苦しんだとしても、後で必ずご褒美が待ってるから、頑張って」と言われ、頑張る活力をもらったという。忙しいけど、負けられない。まだ走らなきゃいけない時期だったから、とても励みになった。
そして、今頑張っていることは絶対に報われる。と信じた。
自分でやってみたいと思ったことに目をそむけて逃げては楽しくない。生きてる感じがしない。スッキリしない。会社がうまくいってなくても、挑戦していれば、前に進もうとして失敗しているわけだから、納得がいくのだ。
是非、独立される方は、チャレンジして、前に出てほしい!と、遠藤社長は強く話してくれた。
写真:川越「ザ・ファンキーチキン」(炭火ダイニング)
編集後記
挑戦し続けることは、苦しいことだと思う。でも、一度逃げてしまった経験があったからこそ、自分と向き合うことができ、逃げないでチャレンジし続ける気持ちを持てるようになった遠藤社長。
何も行動しないより、精一杯挑戦して失敗する方が得るものも大きいし、後悔も少ない。そして、努力は報われる。と、遠藤社長は未来の起業家たちへのメッセージとして強く感じた。
(事務局:中小企業診断士 平井彩子)