【笑顔日本一を目指す飲食店】田子英城氏インタビュー第1話「起業のきっかけ」
■田子英城 | プロフィール
1978年生まれ。株式会社ロット代表取締役。大学卒業後、仲間とともに「Cafe & Dining SUN」を出店。その後も埼玉県戸田市を中心に、お好み焼き、カフェ、焼肉などの全店多業態の店を10店舗を運営。http://www.rot-group.com/pc/index.html
今回は、田子英城氏のインタビュー(全4話)の第1話「起業のきっかけ」を紹介していきます。
起業のきっかけ
高校生の頃から色んなアルバイトをしてきた中で、”自分は人に使われるのが嫌い”、”サラリーマン体質じゃない”とわかっていたため、「大学を卒業したら起業」と決意していました。そのために、大学1年生~4年生までアルバイトをしてお金を貯め、起業の準備をしていたという。
ユニークなバイト先で、アルバイトながら店長クラスの仕事をさせてもらっていました。その中で、売上を上げることの面白さに気づき、それならば「売上をもっと上げたら僕たちにインセンティブをくれないか」という提案をし、店を任されている状態になった。この中で、学生ながら実際の店舗で経営手法も学んだ。もはや学生起業家と変わらない状態である。
そもそも「卒業したら起業する」ということしか決まっていなくて、飲食ではなく他業種での起業を検討していたという。最初は手元資金もないし、当然どこも貸してくれるわけもなく、自己資金のみでのスタート。
さて、どんな店を出そうか・・・と考えたとき、戸田には、お酒が飲めるようなお店がない。おしゃれなお店もないため、「それなら自分たちでやろう!」となった。はじめることを決めたら自然に仲間が7,8人集まり、その中でコンセプト決まっていった。コンセプトは、「僕たちがほしい店!」と明確で、1.おしゃれであること。2.ワンコインで飲み食いできること。3.地域密着をモットーに接客をきちんとやること。とだけ決めていた。
しかし、工事業者が手配できず、ここでも「それなら自分たちでやろう」と、素人の自分たちで工事を行うことにしたという。
提供するものについては、その当時流行っていた”無国籍風”というイメージを、なんとなく皆で共有していただけであったため、オープン5日前になって、「それを誰が作るの?」と、作る人がいないことにそこで気づくほど工事が大変だったそうだ。
だが、それがとてもいい経験になった。
1号店は、今でも一番愛している。そこがなければ何もはじまらなかった原点の場でもあるし、立ち上げの苦労があるから愛着がある。
それを知っているから、新規店の店長は、工事までやらなければならないとロットでは決められているそうだ。
寝ないで工事して、他のことも全てやって、という日々を自分が体験した中で、やはり店への思い入れは、”辛ければ辛いほど深くなって良い”と知っているため、その経験を店長にさせてあげることが大事と田子社長は言う。
ハコ(店という場)を用意して「店長よろしくね」と丸投げではいけない。昼間は面接、採用、教育、オペレーションやって、夜は手が空くんだから塗装ぐらいやらないと。
ロットのスローガンは「死ぬ気でやろう、死なないから」だから、大丈夫!と笑いながら言ってのけた田子社長であった。
写真:埼玉県戸田市「Cafe & Dining SUN」
編集後記
突き抜けた強い意志を持つ田子社長。自分の通ってきた道がわかるだけに、店長教育への思いも強い社長であった。
起業の2文字を決めたら「俺たちでも出来る」と信じることや、制約条件があっても言い訳せず、常に諦めることなく出来る方法を考える。だから、おのずと道が拓け、成し遂げることが出来るのではないか。そのことを未来の起業家へのメッセージと受け取った。
(事務局:中小企業診断士 平井彩子)