外食・中食市場2016年計の動向 単価の上昇に支えられた2015年から一転、客単価はゼロ成長
外食・中食市場情報サービス『CREST(R) *1』を提供するエヌピーディー・ジャパン株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役:トーマス・リンチ)は、この度、外食・中食市場2016年計動向の分析を紹介します。また、今回紹介する外食・中食市場の動向分析レポートを販売いたします。
消費者の節約志向が根強く、個人消費が伸び悩んだ2016年。そのような2016年の外食・中食市場はどのような状況だったのかを総括して、エヌピーディー・ジャパン株式会社が提供する外食・中食市場情報サービス『CREST(R)マーケットトレンドレポート *2 2016年計編』から分析を紹介します。
■外食・中食市場全体の売上は0.5%増
外食・中食市場全体の2016年計の売上市場規模は、20兆1,983億円でした。成長率(図表1)をみると、売上は対前年比0.5%増となりました。内訳は、食機会数 *3が寄与したものです。2015年の対2014年比は、売上1.7%増、食機会数0.4%減、客単価2.2%増でした。2015年は、客単価が年間を通して客単価が増加しており、この客単価増が売上の成長を支えていましたが、2016年は一転して客単価はマイナス成長となりました。
消費者の節約志向によって、高単価店から低単価店へのシフト、または高単価商品から低単価商品へのシフトが起こることにより、企業側も積極的な値上げや高単価商品戦略を避けたことが影響したと考えられます。
<図表1>
■多くの業態で食機会数がプラス成長
業態別の食機会数 *3の成長率(図表2)をみてみると、CVS(コンビニエンスストア)とFF(ファストフード)+セルフ型カフェが大きく成長しました。CVSは店舗数増加(前年比+2.8%)の影響が大きいと考えられます。FF+セルフ型カフェは、ハンバーガーファストフード店の鶏肉問題からのリカバーが大きく影響しました。
FR(ファミリーレストラン)は2015年に高単価商品が好調で客単価も伸び客数も伸びましたが、2016年は節約志向の影響で苦戦しました。第4四半期(9-12月)に再度高単価商品の投入や、メニュー戦略がうまくいき、客数が回復したことで、2016年計は微減(0.4%減)にとどまりました。
<図表2>
■昼食、夕食は減少、間食機会が4四半期連続で伸びる
食機会別の成長率(図表3)をみると、間食機会が大きく成長しているのが分かります。2015年はマイナス成長だった間食機会が2016年は年間通してプラス成長でした。間食の伸びは主にCVSとスーパーがけん引しています。
反面、昼食、夕食のメインの食事機会数は、大きく減少しています。朝食は第3四半期までは連続減でしたが、第4四半期にプラスに転じたことでマイナス1%と小幅減にとどまりました。
<図表3>
2016年は、天候不順や野菜・魚介類の歴史的な高騰もあり、もともと顕著になっていた節約志向がより強くなり、消費者は価格や商品の価値に対してシビアな状態が続きましたが、第4四半期に多くの業態で客数が増え、明るい兆しが見え始めました。
人口減少、少子高齢化が進む中、今後は人々の胃袋は減る一方ですので、何もしなければ食市場は縮小します。外食・中食市場は、プラスマイナス1%前後の成長しか見込めず、天候やカレンダー並びの影響を受けて数字が上下する現象が続いています。節約志向の消費者の財布のひもをいかにゆるめるかが重要になりますが、2016年に伸長した間食や、連休やイベントの需要を喚起し取り込んでいくことが今後の消費拡大のカギになりそうです。
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*3. 食機会数
外食・中食を利用した延べ食機会(朝/午前間食/昼/午後間食/夕/夜間食)数