絶滅危惧種に指定されたニホンウナギ ウナギの街・浜松市では、親ウナギ放流事業継続発表
土用の丑の日も間近となりましたが、6月12日に国際自然保護連合(IUCN)が、絶滅の恐れがある野生生物を評価したレッドリストで、ニホンウナギを絶滅危惧種に分類しました。
浜松市は100年以上の歴史を持つウナギ養殖の発祥の地であり、ウナギの蒲焼きの年間支出額も全国1位(*1)でもあります。
(*1)ウナギの蒲焼き年間支出金額(平成22年から24年平均、1世帯あたり)
1位・浜松市5,817円、2位・京都市4,495円、3位・大阪市4,001円
「家計調査(二人以上の世帯)都道府県庁所在市及び政令指定都市別ランキング(平成22~24年平均)」 総務省統計局より
【浜名湖独自のウナギ資源回復事業の継続決定】
浜名湖下りウナギ放流事業全体会議(事務局・浜名湖水産業振興協議会)では、絶滅危惧種であるウナギの保護と、「浜名湖うなぎブランド」の資源回復を目指し、前年度と同様に約200キロのウナギを秋に放流することを6月4日に決定しました。
この放流事業では、産卵のため浜名湖を下る親ウナギ(下りウナギ)を漁師から買い上げて放流し、やがて孵化して黒潮に乗って戻ってくるシラスウナギの資源回復を図るという試みを行っています。また、ウナギの食文化を守るためにも、この回復事業の試みが功を奏すことを期待しています。
【「浜名湖うなぎ」も養殖量回復の兆し】
全国的に右肩下がりだったウナギの国内養殖量が回復しているとの報道がありますが、浜名湖うなぎも同様に養殖量の回復に伴い卸価格が下がっています。一般的に浜名湖うなぎは、地元の天竜川河口や浜名湖で採捕された稚魚(シラスウナギ)を浜名湖で養殖しているものをいいます。5年前から稚魚の不漁が続いたことで、ウナギ稚魚の取引価格は、一時稚魚1キロあたり250万円程度まで高騰しましたが、6月現在では1キロあたり20万円程度と大幅に値下がりしています。
浜名湖でウナギを取り扱う業者の中で最大手の浜名湖養魚漁業協同組合の内山組合長曰く、「今年は全国の皆様に浜名湖うなぎを出荷できそうです。一般的な蒲焼きもおすすめですが、白焼きにした浜名湖うなぎを生姜醤油につけてお召し上がり頂くと、本来の旨味を余すことなく堪能できます。」とのことです。
ウナギの稚魚が成魚になるまでには半年程度の期間が必要であり、養鰻業者が安価に仕入れた稚魚は、6月頃から続々と店頭に並ぶ予定です。
【食の安全確保!生産者を遡及できる、安心の浜名湖ブランド】
浜名湖養魚漁業協同組合で出荷している浜名湖うなぎは100%浜名湖産です。消費者の皆様が食品偽装の不安を抱える中、浜名湖ブランドの名実を支える一端を担っているのが、トレーサビリティシステムです。
トレーサビリティシステムとは、浜名湖うなぎをご購入頂いた全てのお客様が、食卓に並ぶウナギの生産者や残留薬検査結果などの栽培履歴をご覧頂くことができる仕組みです。浜名湖うなぎの蒲焼きの包装についているロット番号を組合のホームページに入力すると、誰にどのように育てられ、加工製造されたか調べることができます。
【関西風?関東風?浜松でどちらも堪能できます】
ウナギの食べ方には、「関東風」と「関西風」があるのをご存じでしょうか?
■ふっくら柔らかい関東風
背開きにし素焼きをした後、蒸してからタレをつけて再び焼き上げる。
■パリッと香ばしい関西風
腹開きにし、直火で白焼きにしたものを、蒸さずにタレをつけて焼き上げる。
東京と大阪の中心に位置する浜松市では、「関東風」と「関西風」の両方のウナギの蒲焼きを食べることができます。
(平成25年3月20日現在浜松市には、「関東風」が約90店舗、「関西風」が約26店舗、「関東風、関西風両方取り扱い」が約2店舗あります。)
【「家康くん」の出世運うなぎのぼりの秘密】
2013年のゆるキャラ(R)グランプリで準グランプリを獲得した、浜松市のマスコットキャラクター「出世大名家康くん」のちょんまげをよく見ると、「浜名湖うなぎ」がいます。徳川家康公と同様に、家康くんの出世運も“うなぎ”のぼり中です。これに触れると出世運アップが期待できるかもしれません。