飲食店・喫茶店の開業手続き③

『飲食店・喫茶店の開業手続き』の3回目は、営業許可施設基準のお話になります。
営業するためには、どのような施設が必要なのかを確認しておきましょう!

営業許可施設基準とは?

営業許可基準については以下の①共通基準と②特定基準の両方の基準を満たさなければなりません。

 
①共通基準(各業種共通の基準)

 
(ア)営業施設の構造
 

〇場所・・・清潔な位置であること
〇区画・・・使用目的に応じて適当なものにより区画すること
〇面積・・・取扱量に応じた広さがあること
      (概ね総面積の1/3の調理場は必要)
〇床・・・タイル、コンクリートなど耐水性で、排水がよく清掃しやすい
     構造であること
〇内壁・・・床から1mまでは耐水性材料で、清掃しやすい構造にするこ
      と
〇天井・・・清掃しやすい構造であること
〇明るさ・・・50ルクス以上とすること
〇換気・・・煤煙や蒸気等の排除ができること
〇周囲の構造・・・耐水性の材料で、排水がよく清掃しやすいこと
〇防そ防虫・・・ねずみや昆虫の防除設備を設けること
〇洗浄設備・・・原材料・食品・器具類を洗うのに便利で、かつ、
        十分な流水式の洗浄設備と従業員専用の流水式手洗設備
                          (大きさ360mm×280mm以上= L5号型)と、手指の
        消毒装置があること
〇更衣室・・・従業員数に応じた清潔な更衣室か、更衣箱を作業場以外に
       設けること

 
(イ)食品の取り扱い設備
 

〇器具等の整備・・・取扱量に応じた数の機械器具・容器を備え、衛生的
          に使用できること
〇器具等の配置・・・固定された機械器具類は、作業に便利で、清掃や洗
          浄しやすい位置に配置されていること
〇保管設備・・・取扱量に応じた保管設備を設けること
〇器具等の材質・・・食品に直接接触する機械器具は、耐水性で洗浄しや
          すく、熱湯、蒸気または殺菌剤等で消毒が可能なも
          のであること 
〇運搬具・・・必要に応じて、防虫防じん及び保冷の装置のある清潔な食
       品運搬具を備えること
〇計器類・・・冷蔵、殺菌、加熱、圧搾等の機械器具には、見やすい箇所
       に温度計、圧力計を、また必要に応じて計量器を備えるこ
       と

 
(ウ)給水及び汚物処理
 

〇給水設備・・・水道法による水道水、又は官公立の試験機関等で飲用適
        と認められた水を豊富に供給することができるものであ
        ること。
        貯水槽を使用する場合は、衛生上支障のない構造である
        こと。 
〇便所・・・作業場に影響のない位置、構造とし、作業員の数に応じた数
      を設け、使用に便利なもので、ねずみや昆虫の侵入を防止す
      る設備と、専用の流水受槽式の手洗設備手指の消毒装置を設
      けること
〇汚物処理設備・・・廃棄物容器は、蓋があり、耐水性で、十分な容量の
          あるもので、清掃しやすく、汚液や汚臭がもれない
          ものであること 
〇清掃器具の格納設備・・・作業場専用の清掃器具と格納設備(ロッカ
             ー)を設けること 

 
 
②特定基準(業種によって特に定められた基準)

今回は、調理業の営業許可についての解説なので「飲食店営業」と「喫茶店営業」についての基準を記載します。

 
(ア)「飲食店」の場合

   
(*食肉販売業の許可を受け「自家製ソーセージ」の調理を行う場合以外)  
 
〇冷蔵設備・・・食品を保存するために十分な大きさの冷蔵設備があるこ
        と
〇洗浄設備・・・洗浄槽は2槽以上とすること。ただし自動洗浄設備のあ
        る場合は2槽以上でなくともよい
    (1槽の大きさ=横450mm×奥360mm×高180mm以上)
〇給湯設備・・・洗浄、消毒のための給湯設備(湯沸器等)があること
〇客席・・・客室、客席には換気設備を設け、明るさは10ルクス以上
      であること 
〇客用便所・・・客の使用する便所があること。
        便所は調理場に影響のない位置、構造であり、使用に
        便利で、ねずみ、昆虫等の侵入を防止する設備を有し、
        専用の流水受槽式手洗設備があること

 
(イ)「喫茶店」営業の場合
 

〇冷蔵設備・・・食品を保存するために十分な大きさの冷蔵設備があるこ
        と(飲食店営業と同じ)
〇客席・・・客室、客席には換気設備を設け、明るさは10ルクス以上で
      あること(飲食店営業と同じ)
〇客用便所・・・客の使用する便所があること。
        便所は調理場に影響のない位置、構造であり、使用に便
        利で、ねずみ、昆虫等の侵入を防止する設備を有し、専
        用の流水受槽式手洗設備があること
        (飲食店営業と同じ)

事業計画を立てよう

せっかく営業許可をとっても売り上げが伸びないお店では意味がありません。
前もって何をどういう手順を踏むかなどは専門家と相談しながら、無駄なく進めていくことが成功への最短コースです。
初期投資はなるべく最小限にしたいのは誰もが同じ気持ちですが、はじめの計画の段階か狂ってしまうと、結果的に予想外の無駄な出費がかさんでしまいます。
事業初期の段階で最小限の出費に抑えたいならば、信頼できる専門家に相談しながら、きちんとした儲かるシステムと、それを現実化するための事業計画をじっくり練り上げてから営業を開始しましょう。

執筆者紹介

事務所名 樋口行政書士法務事務所
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